【抗がん剤】吐き気はどう乗り越える?【副作用】

副作用

こんにちは!くろぴちです。
今回は、抗がん剤の副作用の中でも1・2を争うしんどさ【吐き気】について、です。

自分がはじめて抗がん剤を投与したとき、いろんな副作用が来ましたが、やっぱり記憶に残ってるのは【吐き気と脱毛】。

特に【吐き気】は、まじでこの世の地獄を見た……と初回こそ思ったものですが、回数を重ねるごとにコントロールできるようになってきました。

くろぴち
くろぴち

つらいのはつらい!!ですが、大丈夫です。ぜひ参考にしてみてください!

そして、吐き気があると食べることが億劫になり、栄養不足に陥りやすくなります。
個人的には、そのせいで副作用からの回復が遅れたり、白血球の数値が思うように上がらなかったのでは?と感じるくらい。

ここでは吐き気・嘔吐についてどんなふうに乗り越えたかを振り返ってみたいと思います。

抗がん剤で起こる吐き気ってどんな種類があるの?

まず吐き気・嘔吐は、すべての抗がん剤で起きるわけではありません。
抗がん剤の種類によってはほとんど起こらない、ということもあります。

催吐性リスクといって、FECは高度に、ドセタキセルは中等度に分類される感じですね。

とはいえ、ひと昔前はこの吐き気こそが抗がん剤の副作用の代表でしたし、がんの進行具合によっては抗がん剤で得られる効果より、吐き気の副作用のほうがきつくて耐えられない、という患者さんも多かったそうです。

そもそも抗がん剤で吐き気が誘発されるのは、消化管の粘膜や脳にある嘔吐中枢を刺激するから。

•抗がん剤の種類によって、発現頻度・程度が異なるため使用する制吐剤も違うこと
• 個人差が大きいこと
(若年・女性・アルコール非飲者・嘔吐経験あり・不安が強い人は一般的に悪心・嘔吐の副作用が出やすいと言われています)
悪心・嘔吐の種類(急性, 遅発性, 予測性)によって有効な制吐剤が違うこと

自分も投与するまで知らなかったのですが、吐き気にもいろいろ種類があるんですね。

悪心・嘔吐には3種類ある

抗がん剤で起こる悪心・嘔吐には3種類あります。

それぞれ詳しく見ていきましょう!

急性嘔吐

抗がん剤投与後24時間以内に起こる悪心・嘔吐のことです。
抗がん剤が体内に入ると、血液に乗って全身に運ばれます。その過程で起こるのが急性嘔吐です。

体感としては、投与から3~4時間後に胃がムカムカしてきて、車酔いのひどい版みたいな感じになりました。目が回って足元がぐらぐらするというか。そしてオエッ…!とえづく。
とても強力な制吐剤(吐き気止め)が効いてる状態でも、身体が波打つくらいえづいたり、ハッキリとした気持ち悪さを感じました。

抗がん剤ってまじ強力なのね。

その分「今めっちゃガン細胞叩いてくれてる~~~いいぞいいぞ~~!!」みたいな感じで不思議な安心感もありましたが。

急性嘔吐に有効な制吐剤は、セロトニン5HT3受容体拮抗剤といいます。
・グラニセトロン(注射)
・ゾフラン(錠)
・アロキシ(注射)
などがありますが、どれもとても高価なお薬で、しかも後述する遅発性嘔吐には効果が乏しいものが多い!!!!なんと…
これひとつですべての吐き気に対応できるわけではないんですね。
しかし急性嘔吐には有効なので、上記の制吐剤のどれかは抗がん剤と一緒に投与されるはずです。

遅発性嘔吐

遅発性嘔吐は、治療開始後24時間から48時間頃から起こり2日から5日くらい続く症状です。
その名の通り、投与後すぐではなく、しかも数日間続くという吐き気のこと。

急性嘔吐のような激しさではなかったですが、ずーーーーっと気持ち悪い。
家で寝っぱなしでしたが、横になっててもウッ…と込み上げてくるものがありました。

遅発性嘔吐に有効な制吐剤は、ご存じステロイドです。

• 急性および遅発性の悪心・嘔吐に有効で、しかも安価であり、ベース薬として不可欠
• 抗がん剤の制吐剤として、デキサメタゾン(デキサート注・デカドロン錠)が保険承認されている

このデキサメタゾンというのは、ステロイド系抗炎症薬です。
アレルギーのお薬として有名なので聞いたことのある方も多いかと思いますが、吐き気にも有効なんですね。


わたしの場合、FECの時は24時間以内に5回くらい吐いたこともありますし、1週間で体重は5kgくらい落ちたりもしました。毎回じゃないけどね。

ドセタキセルのときは、嘔吐は1度もしてないですし、ムカムカ少しするかな〜?くらいのものでほぼ影響は感じませんでした。

投与時の体調にもよると思いますし、あくまで参考程度で。

予測性嘔吐

抗がん剤治療で吐いた記憶から、抗がん剤に対する嫌悪感により起こるとされている症状です。

上の2つとは違って、物理的に吐き気が引き起こされるわけではありません。
「あ~、これ打ったらまたあのしんどいやつ来る~~~やだやだやだ」って思ってると、打ってないのに気持ち悪くなったりする現象のことですね。
以前打った時の記憶が原因のこともあるし、初めての投与前の不安が原因のこともあります。

この精神的に、っていうのはなかなか厄介で。

自分でコントロールできないんですよね。
頭では、大丈夫!と思っていても、身体が勝手に反応しちゃう。

吐き気・嘔吐を生じやすい体質・要因としては、以下のようなものが挙げられます。
・若年である
・女性である
・副作用に対する不安が強い
・前の治療で強い吐き気があった
・乗り物酔いをしやすい
・妊娠時につわりがひどかった
・モルヒネなど併用している薬剤の有無
・アルコール常用の有無 など

がんの副作用~吐き気・嘔吐

あくまで傾向として、上記の引用が参考になるかもしれません。

わたしは小さいころから乗り物酔いが出やすいタイプで、家族のお出掛けではなるべく助手席に座ってVIP待遇を受けてきたし、がん患者の中では比較的若年。
アルコールもダメだし、前回のFECで嘔吐した記憶もあります。
人間、得体のしれないものというか無知なものが身体に入ってくるとなると、多少緊張はしますしコンディションがよくなかったんでしょうね。

ドセタキセル初投与で見事にリバース。(汚)

そして、「ドセ全然吐き気ないやん……!」と実感した2回目以降の投与では、予測性嘔吐、全く起こりませんでした。

人体って不思議。
心と身体って繋がってるんだなぁ。

予測性嘔吐にはベンゾジアゼピン系抗不安薬が有効と言われています。
わたしが処方されたのは
・ロラゼパム
でした。
不安を和らげるお薬ですね。

主治医
主治医

飲んでもいいし、飲まなくてもいいよ。精神的な不安が強いせいで吐き気が続いてしまう患者さんは多いから一応出しとくよ。

くろぴち
くろぴち

あ、そんな感じなんですね……。ありがとうございます!

(うーん、自分は飲むことはないかな?たぶん)

みたいなやり取りだったような。

普段からメンタルの強さには自信があるわたしですが、主治医の言葉を流し聞きして奥の方にしまっておいたロラゼパム、何度かお世話になりました。

確か、FECの第3回投与前に。もらっといてよかった~~~~!!

予期性悪心・嘔吐に対する最善の対策は,がん薬物療法施行時の急性および遅発性嘔吐の完全制御であり,患者に悪心・嘔吐を経験させないことである。

がん診療ガイドライン

ガイドラインにはこう明記されており、抗がん剤の吐き気・嘔吐をいかに抑えられるか。
これが予測性嘔吐の最大の対策だと言えるかと思います。

では実際に抗がん剤を投与し、急性嘔吐・遅発性嘔吐・予測性嘔吐が起こった時の対策を考えてみます。

実際に吐き気がしたら?

薬に頼る

はい、これは誰が何と言おうと、お薬をうまく使ってコントロールする、というのが1番だと思います!
先程も書きましたが、制吐剤というのはいろいろなお薬があります。
嘔吐の種類によって、処方されるお薬が違うので、ぜひ主治医や薬剤師の方に聞いてみてください。

ふわっとまとめるとこんな感じ。

注射(点滴)内服薬
急性嘔吐グラニセトロン
アロキシ
ゾフラン
遅発性嘔吐デキサートデカドロン錠
予測性嘔吐ロラゼパム
アルプラゾラム

もしかしたらもっとすごいお薬があるかもしれないし、今はなくても今後出てくるかもしれません。
体質にもよるしね。

水分を取って睡眠をとる

なにそれ?という感じかもしれませんが、わたしの実体験ですので一応書いておきます。

FEC初投与で地獄を見て、自分の無知が憎いぞ……となったんですよね。
なんの対策もしてなかったし自業自得やん。
吐き気まじ無理こわいとぶるぶるして2回目の投与にのぞむのはやだ!!!!と思ってめちゃくちゃ調べました。

吐き気があるときは、水分もなかなか取れないし、そもそも食べたくない。
やることがないので横になってるんだけど、気持ち悪いのでうーうー唸りながらごろごろ転がってて、浅い眠りを繰り返す……みたいな感じでした。

まじ全然時間経たんやん。

これが地味につらい。

吐き気があるから水分が取れない。
水分が取れないからトイレもなかなか行かない。
トイレに行かないから抗がん剤が身体からなかなか抜けない。
身体から抜けないからずっと吐き気が消えない。
吐き気が消えないから眠れない。
眠れないから時間が経たない。
地獄の苦しみがつづく…

というループに…!

こわい!!!!!


抗がん剤は、やっぱり異物というか、身体がびっくりしてるんですよね。
わたしの体感ですが、なるべく早く体内から出した方がいい。です。

ガマンせず吐けるなら吐く

最終これ。

当たり前と思われそうですが、意外と難しいことなんですよね。
何故なら、吐き気止めのお薬を飲んでいるから。
吐く、ってものすごい体力が奪われるし、胃が空っぽだと胃液で食道が焼けちゃう感じがしたり、できるなら避けたいところ。

でも、吐けそうなら我慢せず吐いちゃった方が楽、というのはやっぱりあって。
風邪とかと同じです。
身体の反応に逆らわず、吐けるなら吐く。
もしどうしても吐けないなら、あきらめて寝る。そのときは右側を下にして横になるといいそうです。看護師さんが教えてくれました。

そして!

吐いちゃった場合はひとつ注意。
吐しゃ物や、排泄物の処理には気を付けましょう。
抗がん剤が完全に抜けるまでは、排泄物の中に抗がん剤が混じっていることがあります。
なにか大ごとになる、とかではありませんが、できるだけ他人が触れないようにすることが大切だそうです。

わたしは間に合わずトイレの床にリバースしてしまったことがあり、一緒にいた母上に片づけてもらったのですが、その後しっかり手指など除菌してもらいました。ごめん、お母ちゃん。

吐き気があって食べられない!というときは?

結論としては、吐き気があるときには無理に食べなくてもいいです。

主治医
主治医

固形物を無理に食べなくてもいいよ!人間、1・2日食べなくても死なないからね。

って主治医に言われたのを思い出します。めっちゃ淡々と言ってた。
そのかわり、できるだけ水分を取ってね、とも。

わたしは昭和の人間なので、食べて治せ的な強迫観念があったのですが。
そうか~と妙に納得したものです。
ごはん、食べるの好きやし。まじ食べれないどうしよ……ってなるの嫌ですしね。
実際抗がん剤を投与して4日目くらいまではほとんど固形物食べれてなかった気がしますが、しっかり水分は取っていたので普通に生活出来てました~

そしてどこかにも書きましたが、投与から5日目くらいから徐々に味覚障害が出てくることが多く、食べられるもの探しの旅が始まるのでした……(完)

吐き気との付き合い方

  • 抗がん剤で起こる吐き気には個人差がある
  • 処方された吐き気止めを飲む
  • 水分をしっかり取って早く抗がん剤を体外に出す
  • ガマンするより吐いた方が楽な場合がある
  • 食べるのがしんどければ食べなくてもいい!

すみません、ふつうで。

抗がん剤を投与する、って誰もが経験するものでもないし、いざ自分の身に起こった時に無知!!こわい!!!ってことになる方が多いと思うんですよね。
たしかに【個人差があるから正解はない】ということに尽きはするんですが、だからこそたくさんの体験談を手に入れることって大きいな……と思うのです。

どこかのだれかの体験談の一部として受け取って頂けたらうれしいです。

くろぴでした!

参考サイト
・日本癌治療学会様 がん診療ガイドライン
・がんを学ぶ ひとりのがん(癌)に、みんなの力を。様

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