こんにちは!くろぴちです。
今回は、わたしが経験したドセタキセルについて振り返ってみたいと思います。
ドセタキセルもFEC同様、乳がん治療でよく使われる抗がん剤です。
うん、名前がいかついよね。
病院ではみんな【ドセ】と呼んでいました。

ドセタキセル、パクリタキセルなど、語尾にタキセルと名の付くものはドセ、パクリ、など略称で呼ぶことが多いです*
抗がん剤について
まずは復習から。
こちらに抗がん剤とはなんぞ?というのをまとめてありますので、未読の方はぜひご一読ください^^
いろいろな抗がん剤がありますがわたしはこのうちFECとドセタキセルを経験しました。
ではさっそく、細かく見ていきましょう!
ドセタキセルとはどんな薬剤なのか
ドセタキセル(docetaxel、略称:DTX、TXT)はタキサン系微小管阻害薬と呼ばれるお薬です。
(商品名はタキソテール)。
化学物質のタキサンを含んでいるのでこんな名前なんですね。
ドセタ・キセルではなくドセ・タキセルね。←
FECまとめにも書きましたが、抗がん剤には【細胞障害性抗がん剤】と【分子標的治療薬】の2種類があります。FECもドセタキセルも細胞障害性抗がん剤のひとつ。
細胞障害性抗がん剤の種類 | 特徴 |
代謝拮抗薬 | がん細胞に含まれる酵素にはたらきかけてDNA合成を阻害し、がんの増殖を抑える。作用機序により、ピリミジン代謝拮抗剤(フルオロウラシル系、シタラビン系)、葉酸代謝拮抗剤、プリン代謝拮抗剤に分類される |
アルキル化剤 | がん細胞のDNAの分裂を阻害する。DNAには2本の対になった核塩基があるが、その2本の間に”橋”を作る(架橋形成)。がん細胞が分裂しようとすると、その”橋”の部分で核塩基がちぎれて死滅する。 |
抗がん性抗菌薬 | 作用機序は薬剤によって異なる。アントラサイクリン系は、がん細胞のDNAの塩基対の間に入り込んでDNAやRNA(リボ核酸)の合成を阻害する。例えばアクチノマイシンDは、二重鎖DNAに結合して、DNA依存性RNAピリメラーゼを阻害。ブレオマイシンは、DNAを切断してDNA生合成を阻害する。 |
微小管重合阻害薬 | がん細胞に含む微小管に作用する薬。微小管を形成するチュブリンに結合して、微小管の重合(小さな分子化合物が結合して大きな分子化合物になる)を阻害。細胞分裂を阻止する。 |
微小管脱重合阻害薬 | 微小管を形成するチュブリンの合成を過度に促進して脱重合を阻害。細胞分裂を阻止する。 |
トポイソメラーゼ阻害薬 | がん細胞のDNAを合成する酵素(トポイソメラーゼ)に作用して、DNAの再結合を阻止。がん細胞の増殖を阻止する。 |
白金製剤 | がん細胞のDNAの核塩基に架橋形成して細胞分裂を阻害する。アルキル化剤に似た作用のため、アルキル化剤に分類されることもある。 |
スマホからご覧の方には大変見づらい表ですよね。すみません!
タキサン系の抗がん剤は、表2でいうと微小管脱重合阻害薬という分類になります。
難しすぎてわけわからんですが、とにかく細胞分裂を阻止する薬剤ってことですかね。
ドセタキセルは、イチイ科の植物成分を原料として半合成された化合物です。 細胞が分裂する際に必要な細胞構成成分の一つである微小管を安定化および過剰発現させることにより、がん細胞の増殖を阻害します。
ドセタキセル療法
引用させていただきました。くわしく知りたい方はリンク先をご覧ください^^
ドセタキセルとパクリタキセル
そうだ。言い忘れてましたが、タキサン系の抗がん剤にはパクリタキセルというお薬もあります。
(商品名はタキソール)。
こちらは、ドセタキセルとほぼ同じ働きをするのですが、注射を打つ間隔が違います。
ドセタキセル⇒3~4週毎に4~6回
パクリタキセル⇒毎週を12回
といった感じ。
トータル3ヶ月ほどで終了、というのは同じですが、お仕事をしながら病院に通う頻度を考えると、毎週投与は大変!というお声もあるみたいです。
一説には、ホルモン受容体陽性乳がんならドセタキセル、ホルモン受容体陰性乳がんならパクリタキセルが良いとされてるみたいですが、わたしの場合は主治医から「はい、次はドセね~」ってな感じで選択肢はなかったような。
Instagramでは、ドセタキセルをされてる方のほうがやや多かったような気がします。
副作用もほぼ同じですが、ドセは浮腫みが~~~!!という声が多く、パクリは手がしびれる……!という投稿が多かったです。ご参考になれば。
ドセタキセル投与スケジュール
FEC投与のときは、あらかじめイメンドカプセルという吐き気止めを飲みましたが、ドセタキセルについては一切ありませんでした。
それだけ吐き気の副作用が少ない、ということだと思います。
様式 | 注意点 | 薬品名 | 目的 | |
1 | 静脈注射 | 生理食塩液 | ルート確保 | |
2 | 静脈注射 | デキサメタゾン注 | 浮腫み予防 | |
6 | 静脈注射 | ドセタキセル注 | ||
7 | 静脈注射 | 生理食塩液 | ルート洗浄 |
FECのときのはなかった、浮腫み予防のお薬が入っています。
薬剤自体は少なめですが、ドセタキセルはゆっくりめに落とすので、終了までFECと同じ1時間くらいかかりました。
おうちで飲むお薬もFECと比べると少なめです。
・デカドロン錠(アレルギーを抑える、炎症を抑える薬)
・マグミット錠(胃酸を抑える、便通をよくする薬)
・ロキソプロフェン錠(痛みや炎症を抑える、熱を下げる薬)
・レバミピド錠(胃の粘膜を保護する、胃炎の症状を改善する薬)
・ヒルドイドローション(保湿、血行をよくする薬)
個人の副作用に応じて処方してくれますが、わたしは本当にこれだけでした。
利尿剤とか出してくれる病院もあるそうですが、わたしは何回象みたいな浮腫み足を見せても、

いけるいける~~!まだまだ軽度やな。
的な反応でしたし。いろいろなんですね。
投与時に気を付けたほうがいいこと
冷やす
抗がん剤は血管を通って全身に運ばれます。
副作用を起こしたくないところを局所的に冷やし血行をわざと悪くすることで、抗がん剤が届きにくくなる、というのが推奨されている病院もあるようです。
アイスグローブで爪を守る・アイマスクで目元を冷やし眉毛やまつげを守る・氷を舐めて口内を冷やし口内炎をできにくくする、などなど。
わたしはどれも未経験なので効果のほどはわかりませんが、副作用が軽減した!という方も多いみたいです。
水分を多く摂る
これは薬剤師さんから教えていただきました。
抗がん剤はなるべく早く体外に排出したほうがよい、と。
汗などでももちろん排出されますが、やはり尿として体外に出すほうが早くて確実ですよね。
抗がん剤は身体に一度回るとしっかり効果があるとされているので、水分をしっかりとって尿を出す。便秘対策にも有効ですし、出血性膀胱炎の予防にもいいそうです^^
アレルギー反応がないか
抗がん剤はどんな種類でもアレルギーを起こしていないか、確認しながら行うものですが、特にドセタキセルは注意が必要と主治医から言われていました。
というのも、ドセタキセルはアルコールに溶かして投与するから。
わたしもアルコールアレルギーなのでお酒は飲めないし、消毒液も皮膚爛れてるやん!みたいになるタイプでして;
同じような方もいらっしゃると思いますが、必ず主治医に伝えましょう!
今現在はどうか分かりませんが、アルコール抜きで!とオーダーしてくれてました。
どうやらアルコールを完全に抜いて投与するのは難しい?らしいですが、生理食塩液やブドウ糖液に溶かしてくれたりすると。
アルコールがダメな体質でも、治療を受けることはできます。
ご心配なさらず◎
わたし自身ドセでアレルギーは出ませんでした。
ドセタキセルで出やすい副作用
では副作用をまとめていきます。
わたしは先にFECをやってたので、そのダメージが蓄積されてる状態でドセタキセルを始めました。
自分では、FECの副作用か?ドセなのか?どっちかよくわからなかった副作用もありますが、一旦まとめていきます!
吐き気・嘔吐(おうと)
これはFECに比べると全然まし!!!!
ゼロかと言われるとそんなことはないのですが、あの強烈な、身体が波打つような吐き気は一切ありませんでした。ちょっとムカムカするかな~ってくらい。お薬でばっちり抑えられました。
嘔吐した回数もゼロです。
これがないだけで日常生活は格段に送りやすいです。
吐き気って、本当にQOLを下げるんだなと改めて感じました。
下痢
常におなかがゆるゆるで困った副作用です。
自分はどちらかというと、FECは便秘。ドセは下痢。という感じでした。
ほぼ水(!)なので、油断するとお仕事中も「ハッ!!」となったりしてましたが、整腸剤でなんとか乗り切った次第です。
脱毛
FECのおかげですでにおハゲたんだったので、改めて髪の毛の脱毛があったかというのは微妙ですが、投与から2週間くらいでまつげと眉毛が持っていかれました。FECでは残ってたのにな~

ホラー画像すみません。
骨髄抑制
特になにか症状があるわけではないけど、ずっとフラフラしてるというか、ふわ~っとしてました。
貧血っぽいというか。治し方もわからないので、とりあえずゆっくり歩いてみたり、貧血にいいとされてるものを食べてみたりしてました。
あとマスク。この時期に風邪なんかもらったら悪化しちゃうかもしれないので、それだけは気を付けました。
全身倦怠感
骨髄抑制中だったからかもしれませんが、ずっと身体が重くてだる~~い。
シュッと動けない。階段上るの激遅。長時間立ちっぱなしがしんどい。服着替えるのものろのろ~。
朝起きるのもしんどくて、身体中バッキバキでした。
電車は座ってたほうが無難かなと思います。
味覚障害
FECでも書きましたが、あんまり周りに同じ症状の人がいなかったので。
参考にならないかもしれませんが書く!!
投与するたびに口の中が気持ち悪くなっていき、だんだん味が分からなくなりました。こわい!!
レモン丸かじりしてもただの甘い汁みたいな。
チョコレート食べたら粘土みたいな味とかね。
徐々にわかるようになってくるけど、そのタイミングで次の投与→また味覚障害のループ。
食べるの生きがいやねん!!という食いしん坊には地味に嫌すぎた副作用。
浮腫み
そしてこれ!!!!!
本当に浮腫み、すごかったです。
もともとの体質もあると思いますが、とにかく、何しても浮腫む。
手も足もパンパンで、体重も簡単に7~8㎏太っちゃうし散々でした。

怖いものなどない…
利尿剤とか漢方とか、いろんな対策を取ってくれる病院もあるみたいですが、体質によっては全然浮腫まない人もいるので先生とよく相談してみてください。
体験談はこちらから☟
おまけ*
自分はそこまで感じなかったけれど、Instagramではよく聞いたな~という副作用もまとめておきます。
関節痛・しびれ
「投与直後から、関節痛というか身体があちこち痛くて動けない……!」という体験談をよく見ました。特に股関節や腰が痛いという人が多かったです。あと手がしびれるという神経系に副作用が強く出る人も多かったり……。鎮痛剤を飲まないと動けないというのはつらすぎます><
ペットボトルの蓋をうまく開けられないとか。家の鍵を開けるときに鍵を落としちゃうとか。
わたし自身はそこまでひどくなかったですが、一応鎮痛剤は処方されていました。
手足症候群
関節痛やしびれにも共通する副作用ですが、手や足の皮膚細胞に副作用が出ることを手足症候群といいます。
しびれもですが、疼痛というかなんとなく手の感覚が鈍ったり、皮が剥けたり、真っ赤になったりパンパンに腫れたり。
もともと乾燥しやすい人は要注意だと先生にも言われました。
対策はとにかく保湿すること。しびれなどがひどくなったために休薬してる人もいたので、重症化しないように気を付けないといけない副作用です。
まとめ
長文お疲れ様でございました……!
とにかく浮腫みがひどかったよーというお話。
蓄積型というだけあって、不調が溜まっていき回復期っていつだよ、と何回も思いました。
4クール目なんか、ほぼ熊でした。冬眠前の熊。
お仕事しながらの方は、自分の体調が読めなくてイラァ……ってこともあるかもしれません。
ドセを投与しているときはお仕事が忙しくてちゃんと記録を残せておらず、一生懸命思い出しながら書いてみました。写真もほぼ残っておらん。なんてこったい。
ですがなんといっても4年前です。
今はもっと違う副作用や、逆にもっといい対策があるかもしれません。
なんとなく、こんな感じなのねとゆるゆる受け止めていただけると幸いです。
これから治療を受けられる方、主治医や看護師さんに相談しながら治療をすすめていけますように!
お読みいただきありがとうございました^^
参考サイト
・国立がん研究センター中央病院様