【抗がん剤】FECとは?【まとめ】

まとめシリーズ

こんにちは、くろぴちです。

今日は乳がん治療でよく使われるFECについてお話したいと思います。

FECはですね、わたしが最初に受けた治療です。
うちの主治医は最強の抗がん剤だからね~とボソッと言ってました。本当かよ。

副作用や、投与時に気を付けたほうがいいことなど実体験をもとに書いていきます!

くろぴち
くろぴち

ちょっと専門用語が多くなってしまいましたが、できるだけ分かりやすくまとめました!ぜひ最後までお付き合いください~!

抗がん剤について

まずは復習から。
こちらに抗がん剤とは?というのをまとめてありますので未読の方はぜひご一読ください^^


わたしはFECとドセタキセルを経験しました。

では細かく見ていきましょう!

FECとはどんな薬剤なのか

FEC。フェックと読みます。

抗がん剤というのは、いくつかの薬剤を混ぜて投与するのが一般的です。
上の表のFECのところを見ていただきたいのですが、これは3種類の薬剤を使用します。


F:フルオロウラシル
E:エピルビシン
C:シクロホスファミド
これらの頭文字をとって、FECという名前なんですね(^^)

ひとつずつ効果・効能が違ったものを組み合わせることで、より強力に作用するみたい。

シクロホスファミド

上記の表の、ほとんどの治療で使われている薬剤です。
別名エンドキサン。(商品名)

この薬は、細胞障害薬という種類の薬です。その種類の中で「アルキル化剤」と呼ばれるグループに属し、アルキル基を持つ化学物質を含んでいます。DNAに強力に結合し、細胞分裂を止め死滅させることにより、がん細胞の増殖を抑えます。

シクロホスファミド

なにやら恐ろしい単語が並んでいますが、抗がん剤には【細胞障害性抗がん剤】と【分子標的治療薬】の2種類があります。

細胞障害薬というのは前者ですね。
シクロホスファミドはこのお薬の一種であり、細胞に直接・または間接的に作用し攻撃します。
しかし、がん細胞だけを攻撃することはできず、正常な細胞まで攻撃してしまうお薬のため、副作用が強く出てしまいます。

ちなみに細胞障害性抗がん剤にも種類がいくつかあります。
読んでもさっぱりだと思いますが、一応参考までに置いておきます。

細胞障害性抗がん剤の種類特徴
代謝拮抗薬がん細胞に含まれる酵素にはたらきかけてDNA合成を阻害し、がんの増殖を抑える。作用機序により、ピリミジン代謝拮抗剤(フルオロウラシル系、シタラビン系)、葉酸代謝拮抗剤、プリン代謝拮抗剤に分類される
アルキル化剤がん細胞のDNAの分裂を阻害する。DNAには2本の対になった核塩基があるが、その2本の間に”橋”を作る(架橋形成)。がん細胞が分裂しようとすると、その”橋”の部分で核塩基がちぎれて死滅する。
抗がん性抗菌薬作用機序は薬剤によって異なる。アントラサイクリン系は、がん細胞のDNAの塩基対の間に入り込んでDNAやRNA(リボ核酸)の合成を阻害する。例えばアクチノマイシンDは、二重鎖DNAに結合して、DNA依存性RNAピリメラーゼを阻害。ブレオマイシンは、DNAを切断してDNA生合成を阻害する。
表2

このシクロホスファミドは「アルキル化剤」と呼ばれるグループに属しており、これはDNAの分裂を阻害する働きを持つ薬剤だそうです。
薬剤にもいろいろあるんだな。

エピルビシン

別名【赤い悪魔】と呼ばれる真っ赤なお薬です。
もう見た目からめっちゃ効きそう。

血が逆流してるわけではありません

この薬は抗悪性腫瘍薬として用いられる「抗生物質(アントラサイクリン系)」という種類の薬です。DNAやRNAの合成を妨げることなどにより、がん細胞の増殖を抑えます。

エピルビシン

このエピルビシンは、主治医曰く一番強いお薬だと。
…なにをもって?
という疑問もわいてきたんですが、どうやら効き目のことらしい。
そして、効果が期待できる分、副作用も強く出ることが多いみたいです。

余談ですが、わたしもこの赤い液体を見ただけで、オエッ……!となってました。投与前から

フルオロウラシル

この薬は、細胞障害薬という種類の薬です。その種類の中で「代謝拮抗剤」と呼ばれるグループに属し、フッ化ピリミジン系の化学物質を含んでいます。増殖の盛んながん細胞に多く含まれる酵素を利用し、がん細胞の増殖を抑えます。


フルオロウラシル

ちょっと堅苦しい文章になってきて申し訳ないのですが、詳しく知りたい方はリンク先をご覧ください。(疲れてきた)

要するに、3種類の強力な薬剤を組み合わせたものがFECという抗がん剤の正体ですよ~という感じです。

FEC投与スケジュール

これも一例になってしまいますが、わたしが通う病院でのスケジュールを!載せます!

様式注意点薬品名目的
経口60分前に内服イメンドカプセル吐き気止め
静脈注射生理食塩液ルート確保
静脈注射アロキシ点滴バッグ
テキサート注
吐き気止め
静脈注射生理食塩液
エピルビシン注
静脈注射生理食塩液
フルオロウラシル注
静脈注射生理食塩液
シクロホスファミド注
静脈注射生理食塩液ルート洗浄
表3

まずは投与60分前にイメンドカプセルという強力な吐き気止めを飲みます。
見た目はちょっと大きなカプセル1錠なのですが、看護師さんに「絶対落とさないでね。超高いお薬だから!」と釘を刺されました。
このお薬が効いてくるのが30分後とかなので、それまでぼーっと待ちます。ひま。

それから看護師さんに呼ばれて投与する部屋まで移動します。

カーテンで仕切られたリクライニングシートで

うちの病院はこんな感じでしたが、簡易ベッドもありました。投与中に気分が悪くなってしまう方も多いから。

そして化学療法外来室の看護師さんにバトンタッチ。
表3に沿って、まずはルート確保の生理食塩液からスタートです。

ルート確保というのは、点滴の針を刺してきちんと薬剤が入る血管を探すことなのですが。
抗がん剤治療を繰り返していくと、血管にダメージが蓄積されて、血管が固くなってしまうことがあります。

抗がん薬の投与を腕の静脈から何度か行っていくうちに,血管が傷つき,血管に針が入りにくくなることがあります。アンスラサイクリン系の抗がん薬やビノレルビンなどといった抗がん薬は血管の炎症を起こしやすく,血管が固くなったり,痛みを起こしたり,血管が詰まったりすることがあります。血管に針が入りにくくなると抗がん薬の血管外漏出(ろうしゅつ)(血管から漏(も)れてしまうこと)の危険性が高まってきます。

抗がん薬の投与方法

なので、ルートをきちんと確保できるかどうかはすごく大切なのです。
化学療法外来室の看護師さんは毎日たくさんの患者さんのルートを取っているので、まさにプロフェッショナル!!いつもパパっとお上手に取ってくださいました!

無事ルートが取れたら次は吐き気止めを。
針は刺しっぱなしなので、点滴のバッグだけ変えていきます。5~10分くらいかな?

それが全部流れたら、いよいよ抗がん剤です。
まずはエピルビシン。真っ赤なあれです。これは5分くらいで終わります。
効果が出るのは数時間後なのでまだ身体はなんともありません。

次!フルオロウラシル!これも10分くらい。意外と早い。

最後!シクロホスファミド!これが40分くらいかな。いちばん長かったです。
そのあと点滴チューブに残った薬剤を流しきるために再度生理食塩液を流して終了!

全部で1時間くらいでした。

ちなみに、投与2日目と3日目には上述したイメンドカプセルと、新たにデカドロンという吐き気止めも処方されます。こちらは飲み薬です。ありとあらゆる手で吐き気が来ないよう対策がとられてる感じ。頼もしい~~!!

おうちで飲むお薬は、個人の副作用に合わせて処方してくれますが、わたしの場合はこんな感じでございました。毎回全部頂いてたわけではないですが、主治医にこんな副作用出たよ~というとお薬でコントロールできるようにしてくれました^^
・イメンドカプセル(吐き気を抑える薬)
・デカドロン錠(アレルギー、炎症を抑える薬)

これは毎回。

そのほかは以下。
・ガスターD錠(胃炎の症状を改善、胃酸の分泌を抑える薬)
・マグミット錠(胃酸を抑える、便通をよくする薬)
・ロラゼパム錠(不安や緊張を和らげる薬)
・シプロキサン錠(細菌の感染を抑える薬)
・アノレキシノン錠(胃腸の働きをよくする、吐き気を抑える薬)
・ロキソプロフェン錠(痛みや炎症を抑える、熱を下げる薬)
・レバミピド錠(胃の粘膜を保護する、胃炎の症状を改善する薬)
・ヒルドイドローション(保湿効果、血行をよくする薬)

などなど。大量です!

これ以外にもうがい薬とか、なんやらかんやらいっぱいありました~!
副作用に関しては、処方されたお薬でほとんど対処できましたし、なにかあってもわたしにはこのお薬たちがいる……!!
と大変心強かったです。

投与時に気を付けたほうがいいこと

冷やす

抗がん剤は血管を通って全身に運ばれます。
副作用を起こしたくないところを局所的に冷やし血行をわざと悪くすることで、抗がん剤が届きにくくなる、というのが推奨されている病院もあるようです。
アイスグローブで爪を守る・アイマスクで目元を冷やし眉毛やまつげを守る・氷を舐めて口内を冷やし口内炎をできにくくする、などなど。
わたしはどれも未経験なので効果のほどはわかりませんが、副作用が軽減した!という方も多いみたいです。 

水分を多く摂る

これは薬剤師さんから教えていただきました。
抗がん剤はなるべく早く体外に排出したほうがよい、と。
汗などでももちろん排出されますが、やはり尿として体外に出すほうが早くて確実ですよね。
抗がん剤は身体に一度回るとしっかり効果があるとされているので、水分をしっかりとって尿を出す。便秘対策にも有効ですし、出血性膀胱炎の予防にもいいそうです^^

FECで出やすい副作用

体験談のほうにも書いてありますが、こちらにも載せてみますね。

悪心・嘔吐

あれだけ吐き気止めを処方されてるのに、それでも吐き気はやってきます。
恐るべし抗がん剤パワー。

ただし、実際に戻すまではなかなか至らず、オエッとえづいたりムカムカ気持ち悪かったり、ごはんが喉を通らなくなったり。そんな感じでした。最初の4~5日を過ぎると軽減してくる方が多いです。

味覚症状・口内炎

全員に出るわけではない副作用その1。
わたしは毎回食べられないものが違っていて、
1回目投与→りんごジュースが変な味。
2回目投与→ポン酢の味がしない。
3回目投与→水に味がついている(え?

妊婦さんが、いきなり好物が食べれなくなるような感じに近いですかね。妊娠したことないけど。
だいたい2週目あたりがピークだったような気がします。

脱毛

これは初回投与後15日目くらいからやってきます。
一気にごそっと抜ける前にパラパラ期がありますが、その前に頭剃っちゃう方も。

爪・肌の乾燥と荒れ

とにかく全身カッサカサ。猛乾燥!!
唇は切れる・口内炎が治らない・顔も油分なし。
爪もなんかずっと違和感があって手に力が入らなかったりしました。

聴覚異常

全員に出るわけではない副作用その2。
いつも聞いてる音楽や玄関のチャイムがすべて半音低く聞こえる副作用。
昔、耳鼻科のお薬でもなったことがあるので驚きはしませんでしたが、めちゃくちゃ気持ち悪かったです。これも2週間ほどで収まります。

白血球減少・貧血

投与後2週間目くらいに白血球・好中球が最も減少します。
自分の感覚でしかないけど、なんとなくフラフラする期間です。
立ちくらみがひどくなったり、風邪の時に身体の節々が痛くなる感覚に近い倦怠感がありました。
体温もすんごい低くなってたような気がします。
でも自覚症状はあんまりないという不思議な副作用でした。

わたしが感じた副作用はこのくらい。
人によってはもっともーっとたくさんの副作用を経験しながら闘病生活を送る方もいらっしゃるので、あくまで個人の体験としてご参考になれば。

回復期

FECは比較的、回復期が分かりやすい気がします。
投与して最初の1週間は動けないくらいめちゃくちゃしんどいですが、2~3週目は「お、身体から抗がん剤抜けたな」とわかる感じ。
実際、投与1週目はお仕事を休ませてもらいましたが、2週目からは立ち仕事8時間もヨユー!なんなら残業もできるしお友達と遊んだりもできる!!
元気!健康!というのとはもちろん違いますが、一人暮らしの日常生活程度ならしっかり送れました。
これも個人差は大いにあるかと思いますが、FECで寝たきり……というのは周りのサバイバーさんにも少なかったような……?

ただ、抗がん剤は、続けていくうちに多かれ少なかれ身体に蓄積されていきます。
初回投与より4回目の投与のほうが、副作用からの回復が遅くなっていった気がしますし、無理は禁物です。

FEC まとめ

長文お疲れ様でございました……!

実体験をもとに書いてるので、わたしの思ってるのと違う~~~!という方もいらっしゃるかもしれません。
そうだよね!!みんなそれぞれよね!!!
改めて、治療内容も向き合い方も人それぞれだなぁと噛みしめております。
ゆるゆると受け止めていただけると幸いです。


ちなみに、FEC全4回投与後に行ったエコー検査では、1番大きいしこりが約1/3に縮小!そのほか2~3個あったしこりはそれぞれ5㎜以下に。脇のリンパ節のしこりは消失!(見えなくなった)
という結果でFECを終えることになったわたし。
こんなに効くんだ抗がん剤って!と驚いたものです。

これから治療を受けられる方、主治医や看護師さんに相談しながら治療をすすめていけますように!

お読みいただきありがとうございました^^

参考サイト
患者さんのための乳癌診療ガイドライン2019年版

タイトルとURLをコピーしました